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  • 映画ライター・板倉が、「キチラブ」的映画をご紹介。
2021.12.1

誰かと一緒にご飯を食べることがこんな素敵なことだったなんて。 お腹の底から幸せを感じる映画!

  • Kitchen Love the Cinema Vol.11
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Vol.11 劇場版「きのう何食べた?」

ドラマの映画化の理想的な形

ドラマコーナーでも取り上げた「きのう何食べた?」ですが、この作品、単なる人気ドラマの映画化と思っていたら大間違い、めちゃめちゃ映画してます!
映画だからって急に強大なライバルが現れたり、海外に行くこともなく(京都には行きますけどね)、弁護士のシロさんと美容師のケンジの同性カップルの日常が丁寧に描かれます。

では、何が違うかと言うと、歳をとってからの両親との関係性だったり、本当に好きな人に本音で付き合えるかだったりという深いテーマを、2時間かけてじっくりしっかり描いているんです。繊細な心模様が丁寧に描かれるので、どの人の気持ちにも共感できて、だから、特別大きな事件が起きるわけでもないのにドキドキハラハラで画面に釘付けです。

これは30分のドラマでは描きづらいし、集中して観る映画にぴったりの題材だと思いました。笑えるし、どなたでも気軽に観られるにもかかわらず、筆者のように、ある程度歳をとって観ると、いろいろ考えさせられるなぁと感じました。



料理シーンは劇場版も健在

ドラマのファンは、シロさんとその恋人のケンジにまた会える喜びはもちろん、ドラマ版に出ていた登場人物が総登場するのがたまりません。でも、初めて観る方でも、人を想う気持ちが繊細に描かれているので、すぐに「何食べ」ワールドに浸れるでしょう。

そしてドラマ版でも好評だった料理のシーンは、劇場版でももちろん健在です。作り方を覚えられるくらいに丁寧に描かれています。シロさんが作る料理は見栄えばかり意識した料理ではなく、近所のスーパーで買ってきた食材で作られる、試したくなる料理ばかり。ストーリーと食事のシーンが見事なバランスで成立したこの映画、どちらも目が離せません。



コロナ禍を知った今だから、余計に染みる!

孤食なんていう言葉が一時もてはやされましたが、この映画では必ず誰かと誰かが一緒にご飯を食べています。それが尊いことだというのが、コロナ禍を知った今だからこそ、よくわかります。
食べてもらうことを想像しながら料理するシロさんはとても楽しそうです。そして、それを食べるケンジは、ちゃんと言葉を尽くして料理を褒め、感謝しながら食べています。そこには幸せしかありません。それは何気ないようで、実はとても尊い大切な時間なのです。誰かと一緒にご飯を食べることがこんなに幸せなことだったなんて。この映画はそれをあらためて感じさせてくれました。
そしてそれは、キッチンから生活の基本が、世の中の幸せが始まっているという本サイト「キチラブ」のコンセプトともリンクしていると感じました。



安定のキャスティング+新しい風

スタッフ、キャストともにテレビ版から続投で、チーム「何食べ」が再結集しました。それだけにチームワークの良さが画面からも伝わります。主演の西島秀俊さん、内野聖陽さんはもちろん、友人カップル役の山本耕史さんと磯村勇斗さんも役を楽しんでいるよう。
さらに、この劇場版ならではのキャストに、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の好演が記憶に新しいSixTONESの松村北斗さんも参加。シロさんとケンジの間に波風を立てる役を演じています。

ドラマ版で12話かけてお互いを思いやる夫婦のような関係になった二人ですが、劇場版ではさらに成長します。それだけにラストの幸福感はたまりません。ぜひとも劇場で体験してみてください。









【作品データ】

劇場版「きのう何食べた?」

原作:よしながふみ 監督:中江和仁 脚本:安達奈緒子

出演:西島秀俊、内野聖陽、山本耕史、磯村勇斗、松村北斗、田山涼成、梶芽衣子

2021年/東宝/ 公式サイト https://kinounanitabeta-movie.jp/

©2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 ©よしながふみ/講談社

11月3日(水・祝)より、全国東宝系にて大ヒット公開中!

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