「今日の給食はなんだっけ!」お昼が近づくと校内に満ちてくる食事の匂い。子どもたちにとって、学校生活でのハイライトといえば、やっぱり「給食」です。みんなが等しく栄養を取れる機会であり、食材の旬や地域性、健康的な献立バランスなど、様々な学びが生まれる時間でもあります。そして今、有機農産物を取り入れた「オーガニック給食」に向けて進化中。
自治体や企業の取り組みについてキチラブ目線でご紹介します。
写真提供:千葉県いすみ市、兵庫県豊岡市
構成:キチラブ編集部/文:のなかあき子
もくじ
2024 オーガニック給食を推進する自治体
全国的に広がるオーガニック給食への取り組み。日本各地の実施する自治体、具体的な事例、支援団体や国の方針についてご紹介します。
北海道・東北
北海道 安平町(道内で最初にオーガニックビレッジ宣言をした自治体。有機大豆を使用した有機味噌の学校給食での提供にも取り組む)
青森県 東通村
山形県 高畠町、川西町
宮城県 石巻市 など
関東
群馬県 甘楽町
栃木県 小山市
茨城県 つくば市、かすみがうら市、東海村、笠間村、小山市、常陸大宮町(市をあげて有機農業を推進。学校で使用しやすいジャガイモやニンジンなどの作物を中心に、種類や収穫量を増やす。給食の有機米100%も目指す)
千葉県 木更津市、いすみ市(2017年に有機米100%を実現)
埼玉県 秩父市、所沢市、小川町
東京都 世田谷区、武蔵野市 など
小学校の総合授業では有機米の栽培体験と里山学習を実施(千葉県いすみ市)
北陸・甲信越
長野県 松川町、飯田市、飯網町
新潟県 佐渡市(トキの餌場づくりのために農薬や化学肥料を50%以上削減した佐渡産コシヒカリ「朱鷺と暮らす郷」を給食に使用)
石川県 加賀市
福井県 越前市 など
東海
静岡県 磐田市、伊豆の国市、藤枝市(全市立小中学校に有機茶と有機米、市立保育園には有機抹茶を使用したおやつを提供)
愛知県 東郷町、岡崎市
三重県 尾鷲市 など
関西
大阪府 泉大津市、泉佐野市(化学農薬・肥料の使用が半分以下のエコ米を100%使用。国産オーガニック小麦でのパンの提供も目指す)
兵庫県 豊岡市(2016年、給食での減農薬米の全量提供を達成。今後は有機米100%を目指す)
京都府 亀岡市 など
水田の上を飛ぶコウノトリ(兵庫県豊岡市)
中国
島根県 江津市、出雲市、浜田市
鳥取市 日南町
山口市 長門市(楽天農業が市内の耕作放棄地を活用し、有機栽培したサツマイモを給食に提供。小学校での出前授業も行われた)
四国
徳島県 小松島市(無農薬栽培されたお米や小松菜を給食に提供)
愛媛県 今治市(全国に先駆けて、1983年から一部の小学校で有機食材の導入を開始)
高知県 四万十市 など
九州・沖縄
熊本県 山都町
佐賀県 上峰町
大分県 佐伯市、臼杵市
宮崎県 綾町(全国でも先進的な「オーガニック給食の推進に関する条例」を制定。町独自の基準で認証された野菜を積極的に取り入れる)
鹿児島県 南種子市 など
2022年に開催された「オーガニック給食フォーラム」が契機に
「オーガニック給食」が全国的な取り組みへと発展する転機となったのは、2022年に東京で開催された「全国オーガニック給食フォーラム」(事務局:オーガニック給食マップ)だ。
各地で個々に活動を進めていた市民、団体、自治体など、約4000人が参加。
この盛り上がりを受けて、翌年の2023年には「全国オーガニック給食協議会」が設立された。
代表理事には千葉県いすみ市の太田市長が就任。オーガニック給食の全国的な実施を目指すと共に、フォーラムを継続的に開催し、自治体の取り組み事例も共有する。
2023年、農林水産省が「オーガニックビレッジ」創出開始
同年、農林水産省は、市町村が主体となって地域全体で有機農業に取り組む「オーガニックビレッジ」の創出をスタートする。
この取り組みは、持続可能な食料生産システムを目指す「みどりの食料システム戦略」の一環であり、2050年までに国内の全農地の25%を有機農業産地にする目標を掲げる。
「オーガニックビレッジ」の創出を通じて、この目標の実現を目指し、具体的な取り組みとして学校給食への導入も進める。2023年度は93市町村が宣言し、2025年までに100市町村、2030年までに200市町村の創出を目指す。
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『オーガニック給食マップ』とは?
給食のオーガニック化に関する情報発信を行うウェブサイト。各地域の取り組みをまとめたマップのほか、SNSによる情報発信、全国オーガニック協議会への協力などを行う。賛同者数は807(2024年4月現在)で、個人から企業、地方自治体と幅広い。自分の住む地域の情報を知りたい&活動に関心がある人はぜひアクセスを!
オーガニック給食マップ