料理は楽しい！　12歳の少年は創作料理で、ちょっと苦い人生も異文化も乗り越える！

Kitchen Love the Cinema Vol.9

Vol.9「エイブのキッチンストーリー」

今だからこそ、料理に向き合う映画を！

おうち時間が長いことから、お子さんと一緒に料理したり、レパートリーを増やした方も多いかと思います。今回紹介する作品は、料理好きな12歳の少年が、料理を通じて自分の生い立ちや家族に向き合う話です。既存の料理からはみ出すようなオリジナル料理の数々は、キチラブ読者のハートを必ず掴むことでしょう！

国境を超えた料理との出合いがエイブを変える！

ブルックリンに住む少年エイブは、パレスチナ人の父とイスラエル人の母から生まれました。12歳の誕生会などでそれぞれの祖父母が集まると、文化や宗教の違いからいつも険悪なムードになってしまいます。

エイブの心の拠り所は料理。いろいろな国の料理を掛け合わせたフュージョンメニューのことをネットで見つけ、エイブは一人でそのイベントに出掛けます。そこでブラジル人シェフのチコと出会います。チコの料理は、いろいろな国の食材の良さを活かしつつ、国境を軽々超えて人種の違いなく楽しめるものでした。

夏休みに入ったエイブは、サマーキャンプへ行くと嘘をつき、チコの元で料理を学ぶことになりました。最初は洗い物やゴミ捨てばかりでしたが、熱意が認められ徐々に料理を教えてもらえるように。エイブは持ち前の才能を発揮して創作料理を作るようになります。

ところが、両親に嘘をついていたことがバレて外出禁止になってしまいました。
新年を迎えても家族の対立ムードは相変わらずです。エイブはパーティーを企画し、ミックスの自分にしか作れない料理で家族の楽しい時間を作ろうとしますが・・・。

僕はエイブ！

父と母の家系の隔たりはエイブの呼び方に象徴されます。同じ名前でも発音の違いから「アブラハム」と言ったり「イブラヒム」と言ったり。だけどどちらかに決められるのが嫌な彼は自分のことを「エイブ」と名乗ります。そんな彼だからこそチコが作っている、世界の味を掛け合わせたフュージョン料理に惹かれるのです。料理は人種も宗教も越えて、すべての人々を幸せにすることが可能だとエイブは信じています。果たして、エイブの願いは叶うのでしょうか？

監督はYouTuber?

エイブがスマホやSNSを使いこなすイマドキの少年なのは、本作の監督がYouTuberもしている映像作家だからこそ。リズミカルな音楽に包まれたスタイリッシュな映像が楽しめます。

タコスにラーメンを挟んだり、レモネードでアイスキャンディーを作ったりと、エイブの料理は少年らしさもいっぱい。自分の好きなことをとことん追求しようとするエイブの大人への第一歩を、ぜひご家族みんなでご堪能ください。
これから彼がどんな料理を作って行くのか、楽しみでなりません。観終えた時に自分でも料理がしたくなるハズです！