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2020.02.17

お鍋から見える生物多様性

  • サステナビリティ・アドバイザー Manamiの「明日から始めるサステナブル入門」第3回
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今回の特集でもあるお鍋。とっても美味しいですし、様々な味を楽しめますよね。日本各地の伝統やご当地ものを取り入れて、地域ごとの味わいに、舌鼓する季節になりました。

 そんなお鍋からちょっとだけ世界を広げて、各々の食材がどこからどのように来ているのかに想いを馳せてみませんか? 野菜でもネギ、白菜、大根、水菜、人参、また豆腐やしらたき、肉や魚、それぞれが、同じ場所でとれたモノではなく、日本各地、さらには世界のどこかの地域からやってきているではありませんか。

アラスカの森林にて。くまさんもシャケをハンターして食してます
(仕事柄様々 な所に訪れる機会があります)

○○生まれ、△△育ち。そんなことを人との間では「ご出身は? どちらで産まれ育ったの?」と尋ねることがあります。そう、数々の食材も、地球上のどこかで誕生し、育ち、はるばる陸路や空路を経由してお店に並びます。どれも大切に誰かが育てたり、地球という自然が育ててくれたもので、食卓に並び、「いただきます」ということで、なんとも美味な食材へと変化するのです。その美味しさの裏側で、どのように育てられて、どのような環境にいたのでしょうか。

海で天然のシャケを釣り、その後森の中での1週間生活し、貴重な食材に。シャケ鍋も最高です!

 生物多様性という言葉は、身近な日々の暮らしとの接点が見えづらい上、普段の会話に登場することがあまりないので、馴染みがないかもしれません。でも、それでいいと思います。普段の食事を楽しむ時に、意識高い系の話は必要とされませんし、ただ今の瞬間を楽しむことが大切。美味しいものを口にしながら、笑って楽しく過ごすことが何よりです。

そんな至福の瞬間を、これからも味わい続けたいですよね。「冬になったらお鍋だよね、今日は何にする?」というごくありふれた会話が、ずっと先も、1年後も10年20年後も続いてほしい。子どもたちがおじいちゃん、おばあちゃんになっても、「このお鍋はね」と味付けを伝授しながら、次の世代へ語ることができる時間を残していきたいものです。

 食材の一つ一つが、気候変動や自然災害、もしくは人々の手によって破壊されてしまい、この先、手にすることができなくなってしまったら、たわいない毎日を彩る会話も食卓も、とても寂しいものになってしまうことでしょう。

 いつもそばに好きなものがあってほしい。美味しいものを食べ続けたい。そんな日常を失わないために、生物多様性のバランスを崩さないような日々の選択と想いを馳せて、感謝する季節と言えるのかも知れません。

  • Manami

    サステナビリティ・アドバイザー

    自然環境や社会に配慮した製品やサービス、環境・C S R・S D G s 、エシカル・オーガニック・国際認証に纏わる教育やコンサルティング・アドバイザリー・プロデュース等を手掛ける。
    株式会社F E M 代表、日本サステナブル・ラベル協会代表理事他、様々な団体の理事も兼任。

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