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2022.11.23

「医食同源」がソイパティ開発の原点  多様化する食に対応するモスバーガー

  • 「美味しい仕掛け人たち」
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モスバーガーが大豆由来の植物性たんぱくがベースの「ソイパティ」を販売開始して7年目を迎えた。いまや多くの外食産業が代替肉の商品を提供するが、同社は先駆けて商品開発を行ってきた。
代替肉の普及や2020年発売の「グリーンバーガー」でソイパティの認知度が高まったのを機に、より幅広い層に訴求できる商品開発を進めている。

文:のなかあき子

プラントベースのソイパティの仕掛け人

株式会社モスフードサービス
商品開発部 堤 由貴さん Yuki Tsutsumi

2016年にモスフードサービスに入社。前職は大手コンビニでのデザート開発。ソイパティなどのプラントベース商品の開発を行いながら、デザートやスープを中心としたサイドメニューにも携わる。

商品の完成度を高めるため、
試作を重ねる堤さん


食の選択肢を増やして
誰もがモスを楽しめるようにしたい

モスバーガーの商品にソイパティが加わったのは、2015年だ。「ソイ野菜バーガー オーロラソース」として登場し、約3週間後には30万食を販売。2カ月後には定番商品8品目でも、肉の代わりにソイパティを選択できるようにした。

今でこそ多くの外食産業が大豆ベースの代替肉を扱うが、モスはいち早く開発を行ってきた。商品開発部の堤由貴さんは「食文化や食習慣、思想による食の制限がある人や健康志向の人にも外食を楽しんで欲しい。多様化する食の選択肢として、ソイパティの提供を始めました」と説明する。

堤さんは『医食同源』を大切にする健康志向の社風にひかれ、ソイパティ販売開始翌年の2016年に入社した。入社後は前職の大手コンビニでのデザート開発の経験を活かして「ひんやりドルチェ」シリーズを担当。手頃な価格帯であると共に食品ロスも防ぐ商品を開発した。
「それまでは、店舗で解凍後に提供するタイプのデザートだったので、売れ残ると廃棄処分になっていました。冷凍のまま提供できる商品なら、食品ロスを防ぐ上、お客さまは自分好みの解凍具合で食べられます」と堤さんは話す。
現在はサイドメニューの開発と共に、ソイパティなどのプラントベース商品を担当する。

野菜をたくさん食べて欲しいという思いから
「ソイ野菜バーガー」は生まれた


完全なプラントベースを目指して

ソイパティは改良を重ねて完成度を高めている。2020年の「グリーンバーガー」発売の際には、つなぎの卵白を抜いて、動物性食材を完全に使わないソイパティを実現した。消費者の要望ではなく自分たちで挑戦を決めた。
「肉と異なり大豆はいくら捏ねても粘り気が出ません。代替食材探しに苦労しました」と堤さんは振り返る。
この際のリニューアルでは、仏教で禁じられている臭いの強い食材の五葷(ごくん)を使わないことも決め、パティの主要食材である玉ねぎも抜いた。

大豆特有の臭みも課題だった。一般的な代用肉は、臭みをカバーするために香辛料を利かせているものが多い。
しかしモスでは様々なメニューへの汎用性を高めるため、香辛料の使用は最低限にし、しいたけの旨味などでカバーする。このソイパティでは、こんにゃくやキャベツを配合して実際の肉の食感に近づけた。
今後もより良いものを目指し、さらに改良を重ねていくと言う。

「グリーンバーガー<テリヤキ>」は
定番商品として提供している



男性にも訴求できる商品を開発したい

グリーンバーガーの販売時期はコロナ禍と重なった。健康に配慮する人々の支持を受け、グリーンバーガーを含むソイパティ製品は前年比2倍以上の個数を売り上げた。2021年には第二弾の<テリヤキ>を発売。バーガー部分はもちろん、テリヤキソースとマヨソースも動物性食材不使用だが、食べただけでは気づかない。「工夫の苦労は見えないくらいでいいと思います」と堤さんは微笑む。

しかし課題はある。アンケートの結果、購入者層の多くが女性と判明した。お洒落でヘルシーというイメージは、男性への訴求につながりにくい。手軽さやボリューム感を工夫し、男性にも選ばれるプラントベース商品の開発を目指す。

今後はバーガー以外のプラントベースメニューの拡充も視野に入れている。
「スープやデザートも含めたプラントベースのセット商品を提供して、より多くの人に味わってもらえたら、などと考えています」。
多様化する食のニーズに応えるべく、モスの取り組みは続く。

プラントベースのデザート
「カップ いちごムース」も販売


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