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2026.02.7

2026年冬ドラマを観る(その3)

  • “おいしいドラマ”は、第1話でだいたいわかる
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Vol.14「2026年冬ドラマレビュー:ゴールデンのドラマはやっぱり面白い!」

 今期は深夜ドラマが面白いと言ったが、ゴールデン帯も捨てたものではない。
 配信サービスで、大作・話題作の話題は持って行かれるので、地上波はあの手この手を考えてこれまでにない話題作りをしている。もちろん失敗しているものもあると思うが、チャレンジ精神は評価したい。
 ここでは今から追っかけても後悔しない地上波ドラマを紹介しよう。

文:板倉京一

 

 

月9というだけで楽しみにしていたのはもう過去の話

 フジテレビだけが月曜に2本のドラマを提供しているが、月9枠があるから作らざるを得ないのか、いまだに橋本環奈にヤンキーなドクターをやらせる「ヤンドク」という企画はどうしたものか? 昭和感ビンビンな企画がかえって若い層に受け入れられると思っているのか、熟年世代が安心すると思っているのか、相変わらずの展開に筆者は第一回目で脱落した。
 まだその後の『夫に間違いありません』の方が見続けられる。とは言っても、これも行方不明になって死んだと思っていた夫が生きていたが、もう保険金を使っていたから生きていたことを隠そうとするというもので、決して気分のいいものではない。主人公の主婦に松下奈緒でその夫が安田顕。主人公が保険金分貯めようと懸命に努力する一方で、夫は若い女に騙されたりどんどん泥沼にハマっていく。ダメ夫の極みだ。週の初めからこんな気分にさせられるのがイヤなら観ない方がいい。

『夫に間違いありません』
フジテレビ系毎週月曜夜22時~22時54分
公式HP:https://www.ktv.jp/ottonimachigaiarimasen/

充実の火曜日。今期最大の4本

 地上波も面白いと言ったのに、初っ端から厳しいことを書いたが火曜日は充実している。

 フジも火曜の9時は面白い。『東京P.D.警視庁広報2係』と覚えづらいタイトルだが、警察の広報課が主人公とは珍しい。最初はもっと軽いコメディタッチのものかと思ったが、全然違い、社会派の硬派なエンターティメントだった。なんでも警視庁記者・報道記者を経験したものが発案者となり、リアリティーにこだわり抜いたそうだ。ライタールーム方式(複数の脚本家が集まり、作品全体のストーリーや各話の構成などを共同で執筆するシステム)を採用しているからこその骨太なドラマが楽しめる。1話完結にせず、複数回で事件を追うのも新鮮だ。主演は福士蒼汰。FODとの共同制作でseason2がFODで独占配信することが既に決まっている。

  FODは観れないしなー、season1だけ見てもな~。という方には地上波だけで完結の考察ミステリー『再会~Silent Truth~』がオススメ。乱歩賞受賞の横関大の原作を元に、前期のドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」で株を上げた竹内涼真が主演、久々の井上真央がヒロインを演じる本格ヒューマンラブミステリー。小学6年生の時以来の再会から事件は動き出し、片時も目が離せない。

 もっと楽しいのが観たいという方にはこれ、『未来のムスコ』。志田未来演じる売れない劇団員のアラサー女性に、ある日未来の息子を名乗る男の子が現れた。最初は信じられない出来事に戸惑いつつも、将来の夫マーくんが誰なのかを探りつつ子育てに奮闘していく。マーくん候補が複数いるのがミソ。意外と感動する。なんと言っても未来の息子役の颯太くんがかわいい。もちろん主人公と同じ名前の志田未来も熱演。子育て世代の共感を呼びそう。原作は全8巻の漫画らしい。

 感動と言えば、松山ケンイチが発達障害の裁判官を演じる『テミスの不確かな法廷』も外せない。発達障害ながら毎回難解な事件と向き合い、周りの個性的な登場人物と共に真実を知ろうとする姿には感動する。昨年注目されたドラマ「宙わたる教室」のスタッフがつくるというのも安心だ。オリンピックで2週間お休みなので、今から追いかけるには最適。

『東京P.D.警視庁広報2係』
フジテレビ系毎週火曜夜21時~21時54分
公式HP:https://www.fujitv.co.jp/tokyopd/

『再会~Silent Truth~』
テレビ朝日系毎週火曜夜21時~21時54分
公式HP:https://www.tv-asahi.co.jp/saikai/

『未来のムスコ』
TBS系毎週火曜夜22時~22時54分
公式HP:https://www.tbs.co.jp/mirainomusuko_tbs/

『テミスの不確かな法廷』
NHK毎週火曜夜22時~22時45分
公式HP:https://www.nhk.jp/g/ts/32VWPKM6NX/blog/bl/p3xRbR9Gbe/bp/pnP7MZ4Y7N/

これまでの地上波では観られなかった意欲作と80年代舞台ドラマ

 テレビドラマはわかりやすくなくちゃダメとか、ながら見でも話がわかるということを叫ばれてた時代があった。しかし、そんな緩い見方ではもう視聴者はついて来ないのかもしれない。杉咲花主演の『冬のなんかさ、春のなんかね』はそのタイトル通り掴み所のない話だ。簡単に言うと偶然出会った男女のラブストーリーなのだが、熱烈な思いは感じられない。リアルな会話でイマドキの付き合ってる感じのニュアンスを感じさせる。これといった事件も起こらない。人によっては退屈に思えるかもしれないが、ハマる人も多そうだ。そんなドラマを成立させたのは脚本も担当する今泉力哉。長回しが特徴で、日本映画界で大ヒットとはいかなくてもコンスタントに映画を撮り続けている恋愛映画の騎手と言われている人だ。こういう人にゴールデンのドラマを撮らせようというだけでチャレンジだし、視聴率がどうなるか気になる。いや、その視聴率を気にする考え自体が古いのかもしれない。スタッフやキャスト陣はそんなこと気にしておらず、自分たちの撮りたいものを撮っているだけかもしれない。

 水曜はもう1本、『ラムネモンキー』がある。80年代を振り返るドラマだが、そのタイトルはジャッキー・チェンの「ドランクモンキー酔拳」から来ているのが驚き。80年代に中学生だった主演の3人は当然お酒は飲めない。だから酔拳ではなく、当時飲んでいた炭酸水のラムネにしたということ。ちょっとマニアックすぎる気がするが、この時間帯は前、三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」をやった枠だ。
 企画の発端は違うのだろうが、面白くないと散々ケチをつけられたドラマで、またしても似たような80年代を舞台にしたドラマになるとは。このドラマは脚本家・古沢良太のオリジナルである。古沢良太といえば、「リーガル・ハイ」や「コンフィデンスマンJP」で面白さが保証されている人。「ラムネモンキー」の中にも面白い話はあるが、どうしても「古沢良太、お前もか?」という感じがしてしまう。「不適切にもほどがある」(TBS)は、80年代のアイテムを使って確かに大ヒットしたが、フジはあれを狙って三谷幸喜や古沢良太に80年代を書かせてる気がしてならない。

『冬のなんかさ、春のなんかね』
日本テレビ系毎週水曜夜22時~22時54分
公式HP:https://www.ntv.co.jp/fuyunonankasa/

『ラムネモンキー』
フジテレビ系毎週水曜夜22時~22時54分
公式HP:https://www.fujitv.co.jp/ramunemonkey88/

 次回は週の後半を紹介しよう。


vol.12「2026年冬ドラマレビュー:深夜ドラマがめっちゃ充実!(前編)」こちら

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