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  • オーガニックマインドを伝えるwith Organicを作った仕掛け人
2025.03.19

認証は大事。なくても、with Organicで オーガニックマインドを応援したい。

  • 「美味しい仕掛け人たち」Vol.22
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杢谷社長は自然食ブームだった頃から、経済優先の社会の進み方に疑問を感じてきた。必然的にJONA創立メンバーに名乗り出た。当然、会社も次々と有機JAS認証を取得する。しかし、順調にいかないことも多い。こんなに熱い気持ちでオーガニックを考えているのに。ルールも必要だが、オーガニックに向かう気持ちは応援したい。ついに、自社でしか使えない基準を捻り出した。その想いを杢谷社長に聞いてみた。

文:板谷 智


オーガニックマインドを伝えるwith Organicを作った仕掛け人

株式会社 純正食品マルシマ代表取締役
杢谷 正樹さん Masaki Mokutani

1959年香川県小豆島の醤油製造業の二男として生まれる。1983年株式会社純正食品マルシマに入社。2000年代表取締役に就任。以降、国産原料やオーガニック原料を使用した食品を通して、地球環境に配慮した循環型社会の実現を目指している。また、1993年にはNPO法人JONAの設立メンバーとなり、現在は、同法人の理事としても意欲的に活動している。

▲まじめにおいしいおやつシリーズ。ほとんどのおやつに with Organic マークが付いている


JONAの創立メンバーとなる

 日本は戦後の高度成長期を経て、経済発展が優先されていた。大きい方がいい、安い方がいい、に加えて、添加物が入るのは当たり前とさえ思われていた。しかし、杢谷社長は70年代の自然食ブームに影響を受けていた。有吉佐和子の「複合汚染」も話題だったし、公害も社会問題となっていた。「このまま進んでいいのか」「ちょっと待てよ!」と社会の方向に疑問を持ち始めた。そんなだったから、1993年のJONA創立メンバーに名乗り出るのも抵抗はなかった。


なんとかオーガニックマインドを見える化したかった

 杢谷社長は純正食品マルシマの4代目である。2000年に父親から引き継ぎ、代表取締役になる。同じ頃、国は有機JAS法を制定し、徐々にオーガニック食品の機運が高まった。オーガニックという言葉も一般的になってきた。マルシマは有機JAS認証を次々に取得する。しかし、加工品は原材料に比べ認証が取りづらい。原材料が複数に及ぶ場合、そのすべてに対して認証を取らなければいけないからだ。「オーガニックJAS認証はとても大切なことですし、そのルールの重要性も把握しています。でも、オーガニックに向かう姿勢は応援したいと思うんです」と杢谷社長は考える。「つまり、持続可能な社会に貢献する気持ちが大切なのであり、それがオーガニックマインドだと思うんです。そのため、マルシマでは、マルシマオリジナルの「with Organic」という基準を作りました。すべての原材料や加工工程が有機JAS認証を取ってはいるわけではないので認証商品とは言えないものでも、主原料などで有機を使っていて、限りなくオーガニックの志を持っているものに with Organic というマークを付け、自信を持ってオススメすることにしました」

▲太陽光を浴びる植物をあし
らったwith Organicマーク




ルールも大切だが、志を応援したい

 新商品「有機大豆の発酵テンペ」も原材料の大豆は有機である。「テンペと呼ばれる商品はこれまでもありましたが、有機大豆を使っているのは希少じゃないでしょうか」と共同開発の(株)トワメイト中原社長は言う。納豆に近い商品だが、納豆のような匂いは出さず、ネバネバもしていない。そのため、サラダの具材としてそのまま食べても、キーマカレーやミートソースに入れても美味しく食べられる。しかし、有機JAS認証品ではない。加工したり、レトルトにする工場が認証を受けていないからだ。そこでマルシマではこの商品にwith Organic のマークを付けることにした。こういう商品を作ることで有機大豆の市場を広めたいというマルシマの想い、認証は取れていないんだけどオーガニックに向かう生産者の気持ちをお客様に伝えたいのだ。
 5年前からこのwith Organic の活動をしているが、まだまだ浸透したとは言い難い。消費者に認知してもらうためには、とにかく商品を増やしたいと杢谷社長は言う。「微力だとしても無力ではないと信じて続けていきたい」。その想いの先には何があるのか、今後の目標を伺った。「有機の手法で、日本国土を持続可能な状態にしたい。出来るだけ国産の原料を使い、生産者の方々がちゃんと収入を得るように下支え出来るようにしたい」。また、食べる方と作る方に距離があることも危惧しているそうだ。マルシマの存在意義をこう語った。「食べる方と作ってくださる方を繋ぐのが役目かなと思っています。有機商品はコストがかかりますが、わけあってこの価格だということをお客様にも理解してもらいたい。そのための情報発信も積極的にしていきます。今はまだマルシマブランドの二割くらいしか有機JAS認証を取得していませんが、今後は増やしていきたいですし、もし認証が取れていなくてもオーガニックに向かう気持ちがあるなら、with Organic として応援していきたいです」。マルシマが今一番積極的に展開していることがwith Organic なのは間違いない。


▲健康生活を大きく掲げたマルシマ直営店舗

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