災害時の避難所を経験したことのある方ならご存じだと思うけど、いざという時、人ってすごく変わるのよ。お上品なマダムだと思っていた人が配給品を受け取る行列に割り込んでみたり、穏やかそうに見えた老紳士が炊き出しの盛り付けの量が多いだの少ないだので騒いだり。悲しいことだけれど、追いつめられるとマナーも品性のかけらもなくなってピリピリしてしまう人が決して少なくないの。ストレスの多い環境では、えせマダムやインチキ紳士の化けの皮が剥がれちゃうのよ。いざという時こそ、冷静さと穏やかさを忘れない、知的でエレガントな人でありたいわよね。
市販の避難用品セットに入っているものは、あくまでも最低限の装備。より安全に、快適に、美しく過ごすためには、自分と家族にとっての必需品をプラスしておく必要があるの。
●薄手のブランケット・ストール・大判のスカーフや風呂敷… 避難所生活では、身体を守るための「防寒」と心を守るための「プライバシー確保」が最重要課題よ! 寒さ除け・日差し除け・枕カバー・着替える際の目隠しなど、大きめの布製品はなにかと頼りになります。
●簡易トイレ・トイレットペーパー… 混み合ったり掃除が行き届かなかったり、すぐにペーパーがなくなってしまったり、避難所のトイレ事情はけっこう深刻よ。自宅で過ごす場合も、水道が止まっている間は水洗が使えないでしょ。簡易トイレがあると、毎日のストレスがグンと減ります。トイレットペーパーはティッシュペーパー代わりにもなるので、いくつか準備しておいて。
●アレルギー用の食材や粉ミルク… 被災時はなかなか入手できません。特に、赤ちゃん用の粉ミルクは命にかかわるものだから、該当する方は絶対に忘れないでね。
●ヘアケア・スキンケア用品… 被災時は、いつ洗顔や入浴ができるか分かりません。 髪ボサボサ・お肌ガサガサでいると、心が折れやすくなっちゃうものなの。ウェットティッシュ(顔や体を拭けるようアルコールが入っていないもの)、水のいらないシャンプー(ドラッグストアで買えます)、スキンケア用のオールインワンジェル、家族みんなで使える保湿クリーム等があると、最低限のケアは出来るはず。
●厚手ソックス… 冷え性対策にもなるし、スリッパが足りない避難所では薄いソックスの上から重ね履きして室内履き代わりに。
この他にも、それぞれの体質・気質・ライフスタイル等によって、“必需品”は異なります。非常時でもストレスを最小限に抑えて、穏やかに美しく過ごせるよう、オリジナルな“備え”をしておいてね。
※外出先で被災して帰宅困難になった場合のために、いつも飲んでいるお薬・携帯しやすい食べもの・飲み物などをバッグに入れておくことも大事。東日本大震災の日、都内では、コンビニからも自動販売機からも、食べものや飲みものがあっというまに消えてしまったことを忘れないで。
PROFILE:
坂梨カズ
「すべての日本人に、より美しく、より幸せな暮らしを!」をコンセプトに、トータルビューティープロデューサーとして活躍中。活動の範囲は、スキンケア・メイクアップなどのコスメティック分野から、ファッションデザイン・コーディネートにまで及び、数々の商品開発にも携わる。近年は「いなり王子」としても注目を浴びている。