• キッチンから消費者と地球をつなぐ情報誌 Kitchen Love the Earth(キチラブ)

  1. ホーム >
  2. ライフ >
  3. 世界農業遺産を巡る長良川上中流域ツアーレポート
2024.04.24

世界農業遺産を巡る長良川上中流域ツアーレポート

  • シェア

清流長良川の鮎

今こそ、何をSDGsすべきか?
観て、聴いて、ふれあい、絆を結ぶ体験ツアー

今こそ、何をSDGsすべきなのか、を探求する旅です。
大昔から大変な努力を払って“SDGs”してこられた貴重な遺産を、その遺産を守ってきた人々を、この目で観て、聴いて、触れて、心を通わせ合い、絆を結ぶ。そして、もちろんおいしくいただく。
そんなスタディーツアーで、あなたのSDGsをアップデートしていきましょう!

世界農業遺産(GIAHS)とは?

Globally Important Agricultural Heritage Systems

世界農業遺産(GIAHS)とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)であり、国際連合食糧農業機関(FAO)により認定されます。
世界中に24か国76地域、日本には現時点で15地域が登録されています。


このシリーズツアーが目指すもの

海(湖)、山、里に深く根差した「有機農業システム」と長い歴史を持つSDGsの本質を、観て、聴いて、触って、実感し、買って支える提携(TEIKEI)の輪を日本全国に広げること


川魚は日本のソウルフード

山本朝子

 日本は島国、魚介といえば海!となりがちですが、実は日本、河川・湖沼に埋め尽くされ、その様子はまるでマスクメロンの網目模様のよう。一昔前までは、庶民の主なタンパク質源は魚、しかも淡水魚だったといえるのではないかしら?

 そんな中で、特に鮎は一年魚、一年でたくさんの卵が孵り、生存競争に勝った一定数が成魚になり、他の多くは他の生き物の「えさ」となり、生命の樹を豊かに実らせるのです。このスパンは、お米の収穫と同じで一年ごとに繰り返されますから、日本の四季のある生活にピッタリとマッチしてきたことでしょう。

 生き残るために子孫をたくさん産むことを選ぶか、少なく生んで大切に育てることを選ぶか? 多様な生物の命のバランスはそれぞれの生存戦略が異なることで支えあっています。人と鮎、里山の暮らしの共生の原形が見えますね。

 10月、鵜飼漁の最終日に長良川の落ち鮎漁も体験し、この豊かな川の恵みを享受しないなんて、なんて馬鹿げているんだろうと、感慨を新たにしました。鮎漁は、鵜飼漁・友釣り・投網・やな漁・刺し網・シャビキ漁と地域によって多種多様、生活に根付いたものであったことが分かります。淡水の恵みは、鮒や鯉、うなぎやナマズ、エビ、沢蟹、もくず蟹、タニシから土壌やオタマジャクシに至るまで、環境を整えれば、難なく手に入れることができる天然資源です。

 ちなみに、鮎1尾、およそ100gに含まれるタンパク質量は、26.47gと驚異的です。和牛が11g、グラスフェッドビーフでも20gほどですから驚嘆に値します。

 琵琶湖、長良川と世界農業遺産を巡り、農薬や化学肥料を使わず、環境負荷を最大限に減らす有機農業の普及が日本の河川を元気にし、日本の食品自給率を上げる!と確信を持ちました。

鮎雑炊
ご飯…250g(丼山盛り1杯) だし…600〜800cc
醤油と塩…適量 トッピング…大葉、柚子胡椒(適量)

鮎飯
ご飯…2合 醤油…大さじ2 みりん…大さじ1
酒…大さじ1 トッピング…大葉や山椒(適量)


岐阜県長良川が育んだ逸品お土産のセレクトショップ
長良川デパート
住所:500-8009 岐阜県岐阜市湊町45
営業時間:10:00〜18:00 定休日:火曜日
電話:085-269-3858  メール:depart@onpaku.asia




Take Action!
能登の里山・里海の再生に心を寄せて

大和田順子

 日本海を臨む美しい棚田「白米(しらよね)千枚田」には無数のひび割れが入り、代々続いてきた黒瓦の家々も各地で倒壊しています。「能登の里山・里海」は佐渡と共に、2011年に国内で「世界農業遺産」に最初に認定された地域です。1月1日の能登半島の地震災害について、心よりお見舞い申し上げます。

 このコラムでは、農林水産省の「世界農業遺産等専門家会議」委員を2014年〜20年まで務めた筆者が、改めてその意味・意義、そして都市部に住む私たちにできることについてお伝えしたいと思います。
 「世界農業遺産を巡る」連載の4号で、能登訪問レポートが掲載されましたが、改めてその概要を紹介します。

ーー能登地域には、日本海に面した急傾斜地に広がる「白米千枚田」をはじめとした棚田や、海の強い潮風から家屋を守る間垣と呼ばれる竹の垣根など、日本の農山漁村の原風景ともいわれる独特の景観が見られます。また、伝統的な技術として、「揚げ浜式」と呼ばれる日本で唯一能登にのみ残る製塩法や、女性が素潜りでサザエやアワビを採る「海女漁」、里山の保全・管理と密接に結びついた「炭焼き」などが受け継がれています。このほか、豊作豊漁を願い、巨大な灯籠を担いで練り歩く「キリコ祭り」や、農耕神事「あえのこと」など、農林水産業にまつわる祭礼が能登の各地で行われています。(農林水産省ホームページより)


 里山は、集落、農地、それらを取り巻く二次林、人工林、採草地、竹林、ため池などがモザイク状に組み合わさって形成され、人が関わることによって、豊かな自然が形成・維持されてきた場所です。人の生活・生産活動の場であると同時に、多様な生きものの生息・生育空間ともなり、さらには地域固有の文化や景観も育むなど多様な価値を併せ持っています。そして、里海とは、人の暮らしと深い関わりを持つ沿岸域を里海と呼びます。里海は生産性が高く豊かな生態系を持ち、魚類の産卵場所や稚魚の生育場所など、海の生きものにとっても重要な場所です。(参考:能登の里海・里山ホームページ)

 いずれも世界で注目されてきた考え方で、そのシンボルが能登半島と言っても過言ではないでしょう。このような日本のみならず、世界の宝である能登の里山・里海をどのようにして再生していくか。都市に住む私たちの暮らしは農山村に支えられています。雪解けの頃には能登へのアクセスも復旧することと思います。千枚田も今年のお米づくりは難しいかもしれませんが、改めて現地を訪問し、その再生にどのようなことができるか、ご一緒に考え活動しませんか

大和田順子:2002年、日本にロハスを紹介。近年は世界農業遺産認定地域のSDGsの推進や活性化を支援。主な著書『ロハスビジネス』(2008年、朝日新書)、『アグリ・コミュニティビジネス』(2011年、学芸出版社)、『SDGsを活かす地域づくり』(2022年、晃洋書房)
世界農業遺産を巡るオーガニックツアーを応援しています。



ツアーへの参加お申し込み・お問い合わせは

特定非営利活動法人 グレインズ・イニシアティブ
ツアー主催者:山本朝子
〒542-0064 大阪府大阪市中央区上汐2-5-14 ワカミズビル4F
TEL:090-7090-2422  Mail:grainist_support@grainmeister.org
https://grainmeister.org/cccooking/

共催:株式会社オルター
〒585-0044 大阪府南河内郡千早赤坂村大字森屋962-1
Mail:info@alter.gr.jp
https://alter.gr.jp/
  :BeyondOrganic株式会社
〒157-0072 東京都世田谷区祖師谷3丁目31-19-202
Mail:shingo2017@gmail.com







関連する記事